自分がアシスト時代に
ここの靴を
隣のルーム長が
撮影していたことを思い出す
わがチーフは新人だったから
量販店の靴しか撮影させてもらえなかった
限られた時間内に
大量の靴を撮影しなければならないから
生産性の高い撮影セットが必要で
僅かの修正ですむ
靴の置き方や
ライト位置の移動は
ファーストアシスタントになる必須条件だった
そのうちチーフに仕事が増えると
自分にお鉢が回ってきた
チラシだったり新聞雑誌だったりしたが
カラーとモノクロ同撮で
リンホフの4x5に
ロレックスの6x9アダプターを付けて
毎回大量に撮影した
難しいのは
映り込みのある黒皮やエナメルの靴を
モノクロで撮る場合で
グレーや茶色に見えたら駄目で
同時に
潰れた(見えない)黒でなく
質感の分かる黒に仕上げなければならない
モノクロはプリント納品だったから
下手なライティングは暗室マンからどやされた
靴にはよく見えるアングルがあり
ライティングも
キーになる位置に正確にライトを持ってこないと
キレイには見えない
そこまで分かってディスプレーしている店は
実はあまりない
ここは全て見えるように回転する台に載せていた
それはいいとしても
この傷のついた靴を飾っている理由は何だろう
アシスト時代
決して撮らせてもらえなかった靴が
このような状態で飾られているのを見るのは
悲しく
時の流れも感じてしまうことだった
SONY α9
Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
SEL55F18Z