夜息子が忘れたノートの買い物に出た時、
さっき見かけた老女がまだ居たので心配になり声をかけた。
駅まで行くバス停を探しているらしい。
息子も普段使わないので分からず電話で聞いてきた。
自分も自転車や歩きなので離れた幹線道路にあるはずだがあまり詳しくない。
やり取りをしていると「もう疲れた、歩けない」と言い出しているらしい。
車を出してもらえないかと言うから
慌てて服を着て老婆のいるところまで車を出す。
見ると身なりはキチンとしているがかなりの歳らしく
手を添えないととても一人で歩ける状態ではない。
これではバス停に連れて行っても無理だからお家の住所を聞いてみる。
すると見事にすらすらと言ってくれるが駅よりも我が家に近い。
ナビに打ち込んで走っていくと、
細い路地がクランク状になったさらに先の私道のあたりだった。
とても車で入れるか分からなかったので、住所と家と名前を聞いて息子に確認に行かせた。
しばらくするとお兄さん、おばさん、
さらにお姉さんがやってきてホッとした。
しかし聞いてみると老婆の身内ではないという。
息子がたまたま近所の家から出て来たお兄さんに
不躾けと思いながらも事情を話すとすぐ手伝ってくれ、
人声から何かを感じた近所の人が次第に出て来て
事情を理解するとみな手伝ってくれた。
家が留守でこれはヤバいと一時は不安になったが、
結局二階のアパートらしき部屋から親族が出て来てくれて、
娘?嫁?らしき人に怒られつつ一件落着。
「お名前を」と言われたが、言えばお礼に来るだろうし、
歳をとると誰でもなることだからと答えず、お婆ちゃんに
「良かったね」と挨拶をして、帰ろうとしたら
「またよろしく」と言われてしまった。