Nikon D500
AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR
堤堯の今月この一冊で「総理の誕生」を取り上げている。
著者は18年間番記者、官邸キャップとして安倍の肉声やエピソードがふんだんに盛り込まれ類書に比べ格段に読み応えがある。中味が濃く政治ドラマの裏面史の証言録だ。
例えば拉致問題。
5人を北に戻せとする外務省の田中均、官房長官の福田康夫と、
戻したら二度と帰国できないと反対する安倍の間で激論となるが、その間小泉は何も言わない。
そのくせ「自民党は何だッ。どうしてみんな俺をほめないんだ」
やがて拉致問題は安倍に丸投げするようになる。
「小泉さんは拉致問題の『ら』の字もわかっていない」と嘆く。
第一次安倍内閣の挫折を、著者は「小泉には安倍がいたが、安倍には安倍がいなかった」とする。
政治的死者となった安倍は雌伏5年、反省ノートをつけ、地元や東日本の被災地を足繫く回る。
そして迎える再起をかけた総裁選。自室に高杉晋作の言葉を掲げた。
「邦家(国家)の為に正義を起こさんことを要す。
雲となり雨となり天地を揺るがさんとす」
再び総理に就いた安倍の東奔西走の活躍は周知のとうり。
G7 でロシア制裁をめぐって怒鳴り合う首脳らを安倍が仲裁し、
レンツィ伊首相からはハイタッチを求められ、オバマは安倍をハグした一件も活写される。
バイデン副大統領の「制止」を振り切り、
翌朝『オイ、靖国に参るぞ』と参拝した一件も詳述される。
「日本に二発の原爆を落とし、(無辜の民を意図的に狙った)東京大空襲を行った米国に、歴史認識問題でとやかく言われたくない。米国にそれを言う資格があるのか」
国際的にも存在感を増した安倍の実像が、見事なノミ捌きで刻まれている。
二読三読して飽きない。
政治は理想ではなく現実で、
相手がある事だから思いどうりにならない事は多々あるだろう。
それを批評家の様に非難しても仕方がない。
彼は一歩一歩匍匐(ほふく)前進だと言っていると聞く。
トップの政治家の支持率が上がっている国は、
独裁的国家は別にして何処にあるだろうか?
未だに街を歩くと「安倍政治を許さない!」とかの、ノー天気な張り紙を見る。
トランプやプーチン、習近平、ゴールポストを動かす反日国、数百人を粛正し核ミサイルをかざす独裁国家、こんな猛獣に囲まれた日本を一体だれに任せるのか?具体的に名前を上げて言ってほしい。現実に今交代可能な人物を上げて比較させてほしい。でなければただのヤジ馬に過ぎない。政治ではない。