土門拳さんといえば
絶対非演出の絶対スナップ
という
恐ろしいテーマを掲げる
写真界の大御所でした
写真学生時代を
振り返っても
称賛する人はいましたが
目指す人はいませんでした
とても敵わない とか
恐れ多い気持ちがありました
それに比べ
もっと自然で
自身の存在感を消し
撮っていることすら気付かれないように撮影していました
特にブレッソンはかなり秘密主義で
自身の顔写真を公開してませんでした
一度木村伊兵衛さんの撮影を目撃したことがあります
東京のデパートの屋上は
当時遊具が色々あり 子供や親子連れが遊んでいました
茶色のウールのコートに山高帽
どう見ても品の良いお祖父さんが
一緒についてきたの体で
胸にはライカ(たぶんM3)
革のオーソドックスなケースの蓋を外し
ファインダーを覗いた瞬間にシャッターを切っていました・・
一連の動作は風のようで
何事も無かったかように ただのお祖父さんに戻っていました
ファインダーを覗く前に
距離目盛 絞り シャッター速度はすでに合わせてあり
距離計の微調整とフレームの確認をして
瞬時に撮り終えていました
すぐ傍にいた私は
呆然として立っていたと思います
木村さんは気付き
私を見た
撮影のお邪魔をしてはいけない気持ちと
仰ぎ見る写真家を
目撃した驚きと喜びの
青年を一瞥しながら
その場を去っていきました
土門さんは東北人の真面目さ(一徹さ)
伊兵衛さんは江戸っ子の粋(いき)
が写真の基調低音だったように思います